私たちの思い


長瀬治之 「臨床心理士を気軽に利用して欲しい」


「地域の中の心理相談室」を目指しています。クライエントへの臨床心理学的援助や専門家を対象にした研修会の開催の他に、臨床心理士としての役割が世の中に定着していくための活動をしています。体が調子の悪い時は医師へ、法律で困った時は弁護士へ、税金でわからない時は税理士に相談に行くなど、専門家としての役割が社会の中に位置づけられています。が、臨床心理士は、心の悩みがある時は臨床心理士に相談に行くといった役割がまだまだ社会の中で認められていません。

日本臨床心理士資格認定協会が文部省(当時)の認可を得て設立されたのが1989年です。臨床心理士が民間の資格とはいえ、その名称が社会の中に位置づけられてから25年しか経っていないため、まずは臨床心理士を身近に感じてもらうことが必要と考え、地域の人を対象にした様々なプログラムを用意しています。

例えば、コミュニケーションをより一層スムーズにするためのコミュニケーションプログラム、子育てに悩む母親を対象とした母親プログラム、人生のまとめをするための自分史プログラムなどです。それぞれ月に一回、半年間のコースを実施しています。

プログラムへの参加を通して心理相談室を身近なものとして感じてもらい、一人でも多くの人に、自分自身の体験を自分自身の言葉で語ることの意味を理解し、精神的な健康につながることを実感してほしいと願っています。


大野佳枝 「アルコール依存で苦しむ人をなくしたい」


「アルコールは、私たちの生活に潤いを与える一方で、アルコールの多飲や習慣は、心身の健康や生活を脅かしていきます。初飲から習慣飲酒、そして問題飲酒となるのですが、どこからが問題なのか、本人にも周囲にも分かりにくいのが現状です。

 全ての人が正しいアルコールの知識を得て、一生を通じてアルコールの害を受けてほしくない。もしアルコールの飲み方に問題を感じたら、本人だけでなく周囲の人、誰でもいい、気軽に相談を受けられる窓口を拡げておきたい。そんな願いから、各世代のためのアルコール心理教育やワークショップ、そしてアルコール問題の相談を受ける専門家のための養成講座を企画していきます。

 企画には、特に女性や子育て世代のニーズに応えていきたいと思います。

堀 恵子 「児童養護施設の子どもが育つ環境を守りたい」


近年の社会構造の多様化、格差の拡大、家族の多様化により、社会的養護を必要とする子どもが増加しています。特に児童虐待の増加に伴い2000年に「児童虐待の防止などに関する法律」が施行されてからは、虐待を受けた子どもたちの児童福祉施設への入所が増えました。臨床心理士の研究会、スーパービジョンの事例を通して児童福祉施設の子どもと出会うなか、児童福祉施設に入所する子どもたちの支援をもっと充実させるべきだと考えるようになりました。精神分析を学んだこと、子どもの心理療法にも長けていること、産業心理臨床の経験があることを活かして、2008年から、児童福祉施設の職場環境の取り組みを行っています。職員のストレス調査・職場環境調査、職員とともに行う職場環境への取り組み、児童福祉施設の研修システムの構築、子どものこころに関する研修機会の提供を行っています。

今取り組んでいることは、児童養護施設に入所する子どもたちの記録の管理/IT化です。どのように生育情報を管理するのか。どうしたら職員の情報共有に活かせるのか。子どもの成長の記録をどう蓄積していくのか。子ども理解や情報共有、蓄積に役立つ情報システムを構築するために、施設職員とともに業務改善に取り組んでいます。

加野 章子 「誰もがいきいきと働ける社会へ」


2016年4月には、障害者差別解消法により、大学などの教育機関においても社会的障壁の除去や合理的配慮などの障害学生支援の整備が法的義務または努力義務とされます。また、2018年4月からの障害者雇用促進法においては、精神発達障害者も雇用促進の対象となります。

 障害当事者と受け入れ企業、ひいては障害者理解に取り組む社会全体において、どの立場のどのものも主体的であり尊重されること、そして生産性を高めていくことが目指されます。

 障害者当事者は、自身の障害受容や社会適応に必要な対人および自己管理スキルを習得し、そして信頼を得る出会いや関係など生涯を生きる財産を得て、交渉し調和していく能力が必要となるでしょう。

 受け入れ企業そして社会全体では、障害理解や協力支援を柔軟に提案し実行できる資質が備わっていくことが求められていくでしょう。

 お互いが満足し、客観的にも有益な共生が成し遂げられるよう、双方の架け橋となる研修や実習を企画していきます。